2015年2月16日

ワールド・オブ・コンクリート(World of Concrete /WOC) レポート

40年の歴史を誇るワールド・オブ・コンクリート(World of Concrete)がラスベガスコンベンションセンターで2月2日〜5日まで開催された。WOCの歴史は、1975年2月テキサス州ヒューストンでの開催に遡る。当時の規模は出展企業が77社、来場者は1,550名、展示面積は22,200平方フィート。現在、World of Concreteは1,300以上の出展企業、5万人を超える登録来場者、50万平方フィートの展示スペースを誇る規模へと成長している。「World of Masonry and Technology for Construction」の開催によって、参加者の幅が一段と拡がっている。

新たな資材や建設機材・建設機器との出会いを求め、広い会場を精力的に見て廻る多くの日本人来場者に出くわした。良き将来のパートナーとなる機材メーカーやサプライヤーとの情報交流、新たなビジネスを構築・推進する上で日本企業にとってこのWOCは格好の展示会と言える。

4年前の2011年3月11日に発生した東日本大震災、2020年の東京五輪の開催決定などによって、現在の建設業界は活況を呈している。いっとき、一貫して減り続けていた建設投資が、防災減災・インフラ再生・アベノミックスによる景気回復策も後押しして、久々に建設投資が当分期待できる時期をむかえている。勢い、日本からの来場者が目立っていたのもこの業界の好景気が背景にある。一方、建設業の人材、資材不足に対する心配の声が以前から上がっているのは知るところだ。企業が直面する様々な課題やテーマを携えて解決策を得ようとWOCに出向く企業も数多い。

1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博の際の建設バブルを経験したある大ベテランの経営者は「当時、オリンピックの1年前頃になると仕事は一気にしぼんでしまいました。その後は、寒風が吹きすさぶ状況でした。2020年の東京五輪開催前までこの景気は期待できるがその後が心配です。その後の準備を今からしておかないと。そういう意味でもWOCにいくつかのヒントがあるかもしれない。」とWOCに来られた心のうちを明かしてくれた。

日本企業は果たしてどんなものに興味や関心があるのか?
スケール感のある建築現場においてコンクリート圧送に使われるコンクリートポンプ車や荷台部分にミキシングドラムを備えたミキサー車。工事・施工の効率や生産性を高めてくれる機器類や装置類。競合他社と差別化を計ってくれる商品やサービスなどなど。多くの日本人来場者はだだっ広い展示会場をこまなく歩き周り展示ブースをのぞき込みながら新たな商品・サービスの発掘、現地パートナーとの出会いを探し求めていた。

小さいもので言えば、流し込んだコンクリートの上を歩く作業用の履物。日本にも同じようなものはあるが、日本のものは紐で靴を足に固定しなくてはならず、こちらのものは簡単に履いて脱いでが出来る便利さが特徴。ある日本人来場者は仕事仲間に分けたいと何足も購入していた。

もう一つ日本人来場者が興味をもった事例を紹介しておこう。Concrete Dyeという、コンクリートの上に文字やデザインを描ける技術。上を歩いても洗っても色や文字が落ちることがない。新たな価値を付加できるサービスとして研究してみたいとのことで、やり方を細かく出展者に質問し、サンプルも取り寄せていた。

WOCの特徴とその素晴らしさを最後に付け加えておきたい。
それはWOC主催者が胸をはって伝える世界レベルの教育プログラムである。WOCでは業界の専門家による100以上のスキルアップセミナーを開催、90分コースと3時間コースの2種類を用意している。これらのセミナーでは、トレーニングや認定、安全や建設の基礎、職業安全衛生局、その他建設や組積造業界に欠かせないプログラムを提供している。

2016年には展示会への視察に加え、セミナーや実践プログラムへの参加もお薦めしたい。

(以上)