2022年6月20日

エストニア発のポテトチップス「バルスナック」

食と飲料の展示会といえば、FOODEX JAPANが国内はもとよりアジア最大規模である。コロナ前の2019年実績で国内約1400社、海外90の国と地域から約2,100社、計4,100ブースが出展、来場者も80,000人を超えた。今年のFOODEXはコロナの影響を受け、世界46カ国・地域から食品・飲料メーカー・商社ら1,313社(その内、海外594社)が出展となった。毎回、新しい国や地域の出展が来場者にとっては一つの魅力であり楽しみでもある。新たな食・飲料との出会いの場となるからに他ならない。
エストニアから7社が今回初出展を果たした。その中でも最も注目を集めたブースの一つがポテトチップスを扱うBalsnackであった。現在、エストニアで政治家として活躍する元大相撲の力士で、同社の経営にも携わるKaido Höövelson氏に話を聴きことができた。力士時代の四股名は把瑠都凱斗、知る人も多いと思う。(*オンラインでのインタビューとなった)

バルトさんといえば、大相撲の元力士として有名です。今はエストニアの政治家でもいらっしゃいますが、どうして政治家の道を選ばれたのですか。

相撲を引退した後、半年間エストニアに戻って住んでいました。戻って初めて、日本とエストニアの違いはもちろん、エストニアの田舎と街に住んでいる人の生活の質やその違いがよく分かりました。そしてより住みやすいところをつくるためには何が必要か、自分は何ができるかを考えるキッカケになりました。私は相撲の世界しか知らなかったので、先ずはいろんなことを経験して、将来は政治家になることでそれが実現できるのではと考えはじめました。

そして、エストニアに戻られた半年後、再び日本に戻ってこられたのですね?

日本に戻って、ビートたけし事務所でタレントとして5年間仕事をしました。その間、選挙の応援活動もしました。仕事で北海道から与那国島まで日本全国を回って、田舎と街の違いや日本はこういう国なんだということを学ぶことが出来ました。いい勉強になりました。
そして、再びエストニアに戻りました。私のように日本に15年も住んでいたエストニア人はあまりいません。しかし、私が何を話したとしてもなかなか周りに伝わりません。やはり、政治家になることでいろんなことを実行に移すこともできるのではと思ったのです。若い人たち、特に田舎に住んでいる若い人たちに人生や仕事において何が一番大切なのか、自分の経験を活かして伝えていきたいと思っています。ご承知の通り、エストニアはITが進んでいます。インターネットがあれば田舎に住んでいてもどこでも生活ができます。そうなると街ではなく田舎に残るひとも増えると思います。日本での15年の経験を両国の架け橋になることで活かしたいです。

話はそれますが、現役時代より体重は落ちましたか?

40キロ落ちました。筋肉は落ちましたが、脂肪は残っています(笑)。

現在、Balsnackというポテトチップスの会社とも関わっていらっしゃいますね。

日本とエストニアの架け橋として、エストニアのもの、エストニアという国を紹介したいと思い、それで走り回っています。最初はエストニアの魚からスタートしました。今回のBalsnackのポテチーは形が変わっていてユニークです。6種類の味があります。子供もお年寄りにも美味しく食べてもらえます。私は日本のビールの大ファンで生ビールが大好きですが、ビールとの相性も抜群です。

バルトさんの将来の計画、ビジョンは?

将来、居酒屋やラーメンのお店もやってみたいと思っています。そして、何よりも常に前向きに、良い結果が残せるように、みんなで力をあわせてやっていきたいです。エストニアと日本の立派な橋を作るために皆さんと力をあわせて一緒にその橋をかけていきたいです。私は15年、日本でお世話になりました。恩返しも兼ねて頑張りたいです。これからもよろしくお願いします!





角田まい

今回、FOODEXでBalsnackのブースを訪れた料理家の角田まいさんが、Balsnackのユニークな形状に魅了されポテトチップスを使ったレシピを考案。ビールはもちろんワインやどんな飲み物にもよく合うレシピの数々で、とりわけ、バルトさんは「3種のディップ」が一番のお気に入りだ。角田(つのだ)さんは、「”3種のディップ”は野菜で作ったヘルシーな3種類のディップをチーズオニオンのスナックに合わせた一品。そのまま食べても美味しいスナックを料理と合わせることで新しい味わいが楽しめるレシピとなっています。」と。

バルトさんに今回のレシピの出来は相撲の番付でいうと何に当たるかとの問いに「幕内!」との即答であった。ちなみに、幕内とは大相撲の最高位の枠組みを構成している番付を指す。


グルテンフリーニョッキ ブルーチーズソースかけ

サーモンと生マッシュルームのサラダ 白ワインジュレかけ

生ハムとピクルスのマッシュサラダ

3種のディップ

食文化が多様化した日本で流通するポテトチップスは、輸入品を含めると、優に数十種類を超える。老若男女を問わず最もポピュラーなスナックであり競争の激しいアイテムである。それゆえに、単なる子供のオヤツやビールのツマミとして食べる対象から、ワンランク上のレストランやカフェなどでも提供される新たなレシピ提案が今後期待される。今回、提案された「3種のディップ」などはまさにBalsnackのユニークな形状を活かした傑作レシピと言える。

たかがスナック、されどスナック。新たな一品が日本の小売店の棚に増えることで楽しい笑顔が増えることを願ってやまない。