2022年3月16日

奈良とウェルネスツーリズム
〜漢方・薬草、健康の歴史文化の発祥地・奈良〜

昨年10月、UNWTO主催による「第7回ガストロノミーツーリズム世界フォーラム」の開催地が奈良県に決定。2022年6月13日〜15日(三日間)、奈良県コンベンションセンターで開催される。奈良は食と観光が連携したガストロノミーツーリズムを新たな観光のテーマとして位置付け様々な取り組みを今後強化していく。食の魅力向上と観光、さらに古くより讃えられてきた「美容健康」の地としての奈良、つまり“ウェルネス”をキーワードに加えたより持続可能な奈良の観光魅力について橋本真季さんに話を聞いた。

橋本 真季
(株)ALHAMBRAの代表取締役のかたわら、漢方養成指導士、植物療法士としてヘルス&ビューティ分野の専門家として活動。 ”漢方“、”香り”、“ハーブ” をテーマにセミナーやイベントの開催、執筆など活動の場を広げている。

橋本さん、先ず、ご自身のご紹介をいただけますか。

こんにちは。初めまして。Shingan院管理人の橋本真季です。私の地元である奈良は、最古の都があった場所で、日本の様々な歴史文化の発祥地です。漢方・薬草・アロマ・お風呂などの健康美容文化もこの土地で生まれました。私はこの古来の素晴らしい智慧をご案内する活動、奈良の素材や歴史を活かした健康美容ブランドの展開、講演や執筆などを国内外で行っています。その一つがこちらのShingan院です。Shingan院では実際に奈良へ皆さんをご案内します。

Shigan院の名前の由来やどういうものか、もう少し詳しく教えてください。

院とは、建物・場所のこと。シルクロードを辿り、仏教や様々文化が伝来した飛鳥・奈良時代には、人々の暮らしに寄りそう院がありました。
Shingan院は令和の時代に始まり、未来へ繋がる架空の院です。ウェルネス=身体的なものだけではなく、心も輝くように生き生きしている状態になるための場所です。

Shingan院はなぜ奈良なのでしょうか。

私の地元ということもありますが、何よりも奈良には1300年前に日本最古の都があったことが一番の理由です。1300年前は少し今と似ていました。天災、そして疫病。人々が救いを求めていました。その際に、奈良で生まれた日本の健康美容の文化、漢方や薬草、そして祈りが人々を癒したのです。

さて、今日の本題でもあります「ウェルネス」について。

最近「ウェルネス」という言葉をよく聞きますが、その定義をご存じでしょうか。「ウェルネス」とは、健康を体の側面だけでなく、より広義に総合的に捉えた概念です。1960年代にアメリカのハルバート・ダン医師が『ウェルネスとは、輝くように生き生きしている状態』と提唱したのが始まりです。
生活習慣の乱れや少子高齢化、環境問題が取り上げられる中でウェルネスへの興味が世界中で高まってきました。またコロナ禍を通し、多くの方が「健康であることの大切さ」を再認識しました。昨年度末のヨーロッパの調査では、70%以上の人が「ウェルネス」に関心があると回答し、またその方法を模索しているという結果でした。より良い暮らし・豊かな人生・自己実現を目指す、そのための行いや過程こそが「ウェルネス」です。ウィズコロナ・アフターコロナの時代においては、新しい生き方・働き方、「ウェルネスライフスタイル」が定着していくでしょう。

次に奈良とウェルネスツーリズムについて

そのような「ウェルネス」を目的とした観光が、ウェルネスツーリズムです。ウェルネスツーリズムでは、旅先での食事、ヨガ、瞑想、スパや温泉、レクリエーション、交流などを通して、心身の健康を促し、リフレッシュしながら新たな自己発見や自己開発を目指します。
また、旅先の地域資源(自然や風土、歴史文化、食、そして人)に触れることも、これからのウェルネスツーリズムでは重要だと私は考えています。これまでも日本であった、温泉での療養などはヘルスツーリズムです。そこに、ガストロノミー、アクティビティ、地域資源や人との交流を加え、自己開発・自己実現を目指す旅のことをウェルネスツーリズムといいます。Shingan院では、古来の健康美容の知恵や資源のある奈良で、現代の人々へ、未来へ、ウェルネスツーリズムを提案します。

最後に、Shingan院のウェルネスツーリズムについて。

Shingan院のウェルネスツーリズムでは、「魂を癒すこと」を大切にしています。これは、ウェルネスツーリズムの起源であるヨーロッパの巡礼地めぐりにも似ています。Shingan院のウェルネスツーリズムの特徴は次の通りです。

  • 旅先の地域資源(自然や風土、歴史文化)に触れる。
  • ガストロノミーツーリズム。
  • 旅先の人と交流する。
  • 自分と向き合う。→ 気付き、自己開発、自己実現する。

追記:
橋本氏はこの2月12日〜13日、奈良市の観光コンテンツ造成事業の取組みの一環として、奈良プレミアムツアー 〜古代から現代、未来へ〜 「漢方・薬草、健康の歴史文化の発祥地・奈良 ウェルネスツーリズム」を企画開催した。奈良市長の肝入りの事業でもあり、その概要と実施成果について、仲川げん市長の話も合わせて次号でお伝えしたい。