2013年10月11日

World Food Istanbul (ワールドフード、イスタンブール) 視察レポート

2013年9月5日から8日までトルコ・イスタンブールのCNREXPOで21st International Food Products & Processing Technologies Exhibition、通称World Foodが開催された。見たまま、感じたままのレポートをお届けする。

World Foodでは食品全般と食品機械・設備関係をカバー。食品は植物油、オリーブ油、アルコール・ノンアルコール飲料、水・ソーダ類、牛乳・乳製品、肉製品、菓子、チョコレート、魚介類、パスタ類、調味料、ベピーフード、冷凍食品、食品添加物、甘味料、香辛料、有機・自然食品、フルーツジュースなど。食品機械・設備関係は、店舗設備、製造機械、魚肉加工、自動化システム、放送技術・設備など。出展者数は全体で377社。

今年の2月にアンタルヤで開催されたAnfas Food Product展には日本の食品会社として味の素が出展、「UMAMI」をテーマに寿司職人が握った寿司の試食に多くの来場者が群がっていた。味の素は日本の食品企業として2011年にトルコに進出、今年で3年目を迎えている。Anfasには日本から食品輸入販売会社、大手チェーンストアなど数社のバイヤーの皆さんも参加され、「小振りだが今までにない新たな商材に出会える展示会」との評価が聞かれた。(ちなみに、来年2014年のAnfas Food Productは2月19日―22日、アンタルヤで開催予定)

さて、今回、日本の出展企業を期待してWorld Foodに出かけたが、残念ながら日本からの出展企業はなかった。展示会場を隈無くすべてのブースを見て回ったが、その間、日本人来場者を見かけることもなかった。タクシム広場の暴動やシリア情勢の影響が後を引いて、実際トルコ訪問を取りやめる企業があったのも事実ではあった。

実はやっと日本企業を見つけたと思いブースの前に立っている日本人らしき男性担当者に話しかかけたら韓国の食品企業であった。日本にも進出している。「アロエの世界」「カフェ・オ・レ」と日本語標記された商品が並んでいた。写真の一人の女性は日本語も少し話した。この韓国の会社の戦略は明快であった。「トルコを基点にいいパートナーを見つけ、そのパートナーとともに周辺国への販路拡大が一つの目標」と話してくれた。韓国企業は最初から海外展開を目的に会社をつくり、製品の製造や開発、提携を行い、積極果敢に外に打ってでるという態度がハッキリしているがここの会社もまさにその典型であった。

会場を見て歩いての印象としては、可愛い感じのブースの作りが多かった。英語を話さない・話せない出展者も以外と多い。ジャムを扱っていたここの企業は親子でブースに立っていた。「息子の学校が休みなので手伝ってくれています」と嬉しそうな表情が商品より印象に残っている。

日本の食の展示会では、「試食」が盛んである。試食目的のために出向く来場者も少なくない。新しい食品や飲み物は試食・試飲しないとわからないし伝わらない。そういう意味では、食の展示会である割には、トルコの出展ブースでの試食が圧倒的に日本に比べ少ない気がした。菓子を扱うこのブースでは試食を盛んにやっており、やはり黒山の人だかりであった。

筆者はこれまで相当数のトルコと日本企業の商談の場に立ち会ってきた。概して、日本企業の皆さんのコメントが共通している。「トルコの皆さんはもう少しプレゼンのやり方を工夫するといい」。「一対一の対面の商談からブースの中での自社商品の説明、商品の見せ方、説明の仕方を含め、もう少し工夫すれば成果がもっと上がるのでは」とのアドバイスである。大手の企業は別として、中小においてはことさらその感が拭えないという。トルコ企業に期待したい点である。

最後に、展示会場はどこへ行ってもなかなか寛げるところが少ない。CNREXPOの入り口近くにある休憩スペースは混むとタバコの臭いが気になるが、ここは以外とゆったりできる。見ての通り、軽食と飲み物が買える。少し休んで次のブース訪問の作戦を立てるにはちょうどいい。

閑話休題。トルコのオフィスに商談で出向くと必ず飲み物とお菓子が出てくる。商談に先立つ最初の質問は「飲み物は何にされますか?」だ。テーブルの上に並べた商談の製品より出てくるお菓子の数が遥かに上回って、打合せテーブルが混沌とすることもある。トルコの「おもてなし」は展示ブースを訪問しても経験できる。やたらと、飲み物をすすめてくれ、お菓子類もすすめてくれる。皆さんにも、是非、トルコ流「おもてなし」を味わっていただきたい。トルコの食品・飲料分野は、日本からみてまだまだ開拓の余地があり、多くの出会いと発見がある。