2024年4月24日

週末の木場公園をぶらり(4月14日、4月21日)

先週、今週と二週続いて江東区にある木場公園にブラリと立ち寄った。木場は文字通り「材木のまち」として栄えてきた。1969年に木場公園が江戸再開発構想の中の防災拠点の一つとして位置づけられた。それを機に、木材業者が新木場へ移転し、木場公園は「水と緑の森林公園」として整備された。公園内を歩くと6面のテニスコートにはじまりバーベキュー広場、ドッグラン、都市緑化植物園、木場ミドリアムなどが拡がる。

それだけではない。仙台堀川が流れ、木場公園大橋が南と北の地区を繋ぐなど壮大な公園である。仙台堀川沿いの遊歩道には松尾芭蕉が「奥の細道」で読んだ18句の句板に出くわす。言うまでもない。芭蕉はかつて深川に住んでいたのである。

加えて、公園内に建てられた東京都現代美術館(MOT)が木場公園に更なる価値を付加している。1995年3月の開館以降、30年の歴史の中で約5,800点の作品を収蔵し、美術の流れを俯瞰できるコレクション展示やテーマ性を纏う大規模国際展など、これまで数多く開催され、海外からの来訪者も絶えない。

下町情緒と現代アートがシンフォニーを奏でるその一角の木場公園でのイベントが二週連続で開催された。ミャンマー春のお正月祭りとビーガングルメ祭りである。
さて、のぞいてみよう!

ミャンマー春のお正月祭り “Myanmar Thingyan (New Year) Festival Toyo”

木場公園の近くを歩いていたら、やたら多くのアジア人と思しき若者が木場公園に吸い込まれていった。音楽も聞こえ、林立する公園の木の間から白や黄色のテントが垣間見られ、明らかにイベントが開催されていることがわかり、気が付いたら私もその大衆の流れに迷い込んでしまった。

4月14日(日) 木場公園では「ミャンマー春のお正月祭り TOKYOダジャン祭り 」の真っ只中であった。ミャンマーの新年のお祭り「ダジャン」をお祝いする恒例イベントで、毎年在日ミャンマーの人たちが集まる。多くのミャンマーの食べ物屋台、民芸品のブース等が所狭しと会場を埋め尽くす。伝統芸能のステージやロックバンドによる音楽も鳴り響いていた。

ステージの看板表示にNational Unity Government of Myanmar (NUG)とある。NUGとはミャンマーの国家統一政府を指す。2021年2月1日のクーデター後にCRPH(連邦議会代表委員会)によって設立され、国軍の解体と少数民族との対立を取りまとめ国家の統一を使命としている。9割以上のミャンマー国民が支持している国家を代表する組織で、それゆえ、このTOKYOダジャン祭りには多くのミャンマーの若者が集ったのである。合点。



VEGANグルメ祭り

主催者サイトを見ると 「肉・魚・卵・乳製品・蜂蜜など動物性食材・製品を使用しない100%植物性のグルメフェスティバル」となっている。加えて、「持続可能な次世代のライフスタイル」という活字が目に飛び込んでくる。

一般的には、ベジタリアンは植物性の食品のみを摂取する。一方、ヴィーガンは主義や思想に沿ったライフスタイルすべてにおいて、動物性のもの、動物由来のもの一切を忌避するという大きな特徴を持つ。菜食主義者のドナルド・ワトソンが「ヴィーガン協会(The Vegan Society)」を設立したのが1944年、そこまで遡ってビーガンの歴史を紐解く必要があるのかもしれないが、VEGANグルメ祭りを垣間見た印象を記しておきたい。


筆者はこれまで複数回にわたってVEGANグルメ祭りに足を運んでいる。今回も特段従来とは変わったところは感じなかった。単純に生産者や販売者が商品を並べ接客・販売をしているだけだからかもしれない。先週のミャンマーのように木場公園の野外ステージを活用して、歌や音楽、参加者への情報発信が何故ないのだろうと思ってしまう。販売に終始していて、情報の発信、インタラクティブな情報交流がないのが残念で仕方ない。

もう一点。以前出ていた何社かの馴染みの出展者を今回見ることができなかった。この業界も意外と浮き沈みが激しいのだろうか?ヴィーガンも当初見られたような「お祭り」騒ぎではなく、一定層の日常に定着し落ち着いてきたのかなとも感じた次第である。実際、そういった声も耳に届いた。そんな中、販売店舗ではなかったが、全国プラントベース大学ネットワーク(Japan Universities Network of Plant-Based Food) によるプラントベース学食の普及に取り組む大学生のネットワークのブースに目が留まった。

ビーガングルメ祭りも次のステージに来た印象である。踊り場にいるのかもしれない。頑張って欲しい。